■「ジュラシック・パーク」スティーヴン・スピルバーグ

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 大富豪ジョン・ハモンドの招待で,古生物学者グラントとサトラー,そして数学者マルコムが南米コスタリカの沖合いに浮かぶ島を訪れる.そこは太古の琥珀に閉じ込められたDNAから遺伝子工学によって蘇った恐竜たちが生息する究極のアミューズメント・パークだった….

 伝子工学によって甦った恐竜が,人間の制御を逃れていく.本作が映画史に刻み込んでいるのは,ストップモーション時代がコンピューターグラフィックス(CG)へと取って代わられる歴史的な節目である.劇中で科学的良心を担う数学者マルコム博士は,「予測不可能性」を説く.複数の学者の思想を断片的に引用して構成されたキャラクターだが,結果として小難しい理論よりも,魅力的な人物像が観客の記憶に強く残ることとなった.

 原作でのマルコムは終盤で命を落とすが,映画では子どもたちを守るために自ら進んで囮(おとり)となるも生還する.これはジェフ・ゴールドブラム(Jeff Goldblum)自身の提案による変更だった.ティラノサウルスに襲われ,恐怖のあまりトイレへ逃げ込む別のキャラクターと,立ち位置が重複するのを避けたかったためだ.スティーブン・スピルバーグ(Steven Spielberg)が最初に起用したのは,ストップモーションの巨匠フィル・ティペット(Phil Tippett)と,アニマトロニクスの名手スタン・ウィンストン(Stan Winston)だった.

 ILM(インダストリアル・ライト&マジック)が白昼を歩くティラノサウルスのCGテスト映像を披露したとき,現場の認識は根底から覆される.ストップモーションに全キャリアを捧げてきたティペットが思わず漏らした「自分はもう絶滅した」という言葉は,奇しくも映画の主題を正確に要約するものだった.だが,この技術革新をただ「旧から新への交代」と捉えるのは適切ではない.本編中で実際に恐竜が画面に登場するのは約15分間に過ぎず,その内訳はウィンストンのアニマトロニクスが約9分,ILMのCGが約6分だった.

 恐竜の大半は依然として物理的な造形物や油圧仕掛けであり,CGは実写では撮影困難な広角のフルショットや,群れの動きを補完する限定的な役割に充てられていたに過ぎない.CG革命はティペットの技術を「絶滅」させたかに見えたが,結果的にアニマトロニクスを駆逐することはなく,「遠景はデジタル,近接はフィジカル」という見事な役割分業を実現していた.本作が公開から30年以上経った今でも色褪せないのは,こうした最新技術の抑制的な使用と,適材適所の分業があったからこそだと気づかされる.

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原題: JURASSIC PARK

監督: スティーヴン・スピルバーグ

127分/アメリカ/1993年

© 1993 Universal Studios and Amblin Entertainment, Inc.