■「FLOWERS フラワーズ」小泉徳宏

FLOWERS-フラワーズ-<Blu-ray>

 1930年から現代へ――世の中の環境が劇的に変化していった時代で精一杯に生きる6人の女性たち.そんな日本女性たちを四季折々の美しい風景で彩りながら描く.女性たちを演じるのは,美しい日本女性を代表する6人の女優たち….

 華なのか貧弱なのか,測りかねる女優6人.その共演を売り物にした作品であるらしいが,各人物が発する言葉も立ち居振る舞いも,かくも軽薄である.イメージ映像に近い"FLOWER"として割り切るだけでは,いかにも味気ない.一つの家系に連綿と受け継がれる華やぎが,女性の輝ける瞬間となって昭和初期から現代へと至るクロニクルの中にたくましく咲く――そうした力強い主張を感じ取りたいという淡い期待に,本作は応えない.

 資生堂の全面監修のもと,自社商品の販促を延長した果てに小津安二郎の模倣を気取られても,観る者は困惑するばかりだ.映像技術の未熟さも随所に目立つ.モノクロ映像は,カラーを「抜く」だけで成立するものではない.陰翳の深さと輪郭の強弱には,光と影の綿密な調和が計算されてこそ初めて意味を持つ.だがここでの作り手は,そうした造形的な配慮に無頓着なようだ.最も惜しまれるのは,絶えることなく命脈を保ってきた血筋と生命の賛美が,形式的な域を出ない点である.

 プロ・チョイス(Pro-Choice)とプロ・ライフ(Pro-Life)の間に揺れる葛藤が,女性の歴史が背負ってきた根源的な問いであることは理解できる.その主題が,なぜ血の連鎖という形式でなければならないのか,必然性が見えてこない.各時代を生き抜いた女性のしなやかさを訴えようとするならば,血筋という縛りはむしろ主題の自由を奪う.テーマ性においても手法においても,本作は精度を欠く.スノッブな外見を纏いながら内実の伴わぬ映画は,顧みられることもなく,早晩忘却の底へと沈んでいくであろう.

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原題: FLOWERS

監督: 小泉徳宏

110分/日本/2010年

© 2010 映画「FLOWERS」製作委員会