| 地球から遠く離れた未知の惑星――傭兵のロイスは,どこともわからぬジャングルに向かって落下していた.目を覚ますとそこには,同じように"気がつけば落下していた"という人々が集まり,彼らはそれぞれ異なる戦術を兼ね備えた最強の殺し屋たちだった.その顔ぶれは傭兵,死刑囚,特殊工作員とさまざまだが,なぜ今ここに自分がいるのかを理解出来ない戦闘のエリートたち.しかし実は彼ら自身が,その地球外生命体=プレデターの獲物であり"一員"だったのだ…. |
初代「プレデター」(1987)が持っていた謎めいた恐怖と原始的なサバイバル性を,ある種のリブートとして呼び戻そうとした試みである.あえて地球外生命体の来訪目的を明かさず,ただ密林における異様な狩猟の気配だけを漂わせた初代に対し,本作ではその設定を拡張し,人類を意図的に狩りのための惑星に放り込むという構造を採った.製作のロバート・ロドリゲス(Robert Rodriguez)は,1990年代に低予算映画の革命児と称され,のちにハリウッドに独自のB級美学を持ち込んだ.
本作もまた,ロドリゲス流の余計な理屈を排したスピード感,荒唐無稽さをあえて正面から受け止める姿勢が貫かれている.ローレンス・フィッシュバーン(Laurence Fishburne)の奇妙な登場場面などはその最たる例で,物語の必然性よりも場をかき乱す面白さを優先している.本作の企画自体は1994年にすでにロドリゲスが20世紀フォックスに提出していた草案に端を発していた.長らく実現しなかった構想が十数年を経て蘇った点は,一種の化石発掘のような味わいを持つ.エイドリアン・ブロディ(Adrien Brody)のキャスティングは当初賛否を呼んだ.
「戦場のピアニスト」(2002)の知的で繊細なピアニスト役の印象が強かったため,肉体派の傭兵役に抜擢されたことは逆張りのキャスティングとして注目された.ブロディ自身もこの役のために筋肉を鍛え上げ,インタビューで「プレデターと戦える肉体を作ること自体が挑戦だった」と語っている.細かい小道具の進化もファンを楽しませる.初代のトレードマークである三点レーザー,プラズマキャノンは踏襲されつつ,ネット・ランチャーや改良型のブレードなどが追加されている.それでも根本的な技術体系は変わらないため,人類の知恵と工夫が通じる余地を感じ取ることができる.
このあたりのバランス感覚が,シリーズを単なるパワーゲームに堕させない工夫となっている.本作は,シリーズの迷走を立て直す正統続編に近いかもしれない.「プレデター2」(1990)が都市型ホラーに傾き,「エイリアンVS.プレデター」(2004)がフランチャイズ消費の色彩を強めたのに対し,本作は人類最強の戦士たち vs 進化型プレデターという単純明快な構図を提示した.その潔さは,むしろ初代の持っていたプリミティブな恐怖を再現する試みであり,そこにロドリゲス特有のB級的遊び心が重ねられている.
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原題: PREDATORS
監督: ニムロッド・アーントル
107分/アメリカ/2010年
© 2010 TWENTIETH CENTURY FOX
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