
| “ジョン・ミルトン&アソシエイツ”,ケヴィン・テイラーはマンハッタンにオフィスを構える刑事訴訟では負け知らずの超一流弁護士事務所の一員となった.そこでは,訴訟内容はもちろん,報酬も何もかもが申し分なかった.だが,すべてが順調に行くなかで,妻ミリアムの変貌が,ケヴィンの心に暗い影を落としていく.そして同時に,事務所の最高経営責任者ジョン・ミルトンに対する疑念.彼には人々の心に潜む邪悪さがすべてわかっていた――. |
バチカンの聖人に列せられる候補者の審議と同様に,意図的に対立意見を組み込むことで相対的な価値を浮彫りにしようとしている.バチカンの審議では,「悪魔の弁護人」と呼ばれる役割が重要だ.この役割を担う者は候補者の弱点を暴き出し,候補者の本当の価値を見極めるための議論を行う.その手法こそ,容認しがたい提案の泣き所を突く論難の技巧「悪魔の弁護人」.
本書では,「悪魔の弁護人」を拡張し悪魔そのものが弁護士として登場する.悪魔は,人間の最も脆弱なポイントを狙い,悪事を働く者を巧みに育て上げ,社会に放つ.その名が「ジョン・ミルトン」とされているのは,陳腐な選択である.若い弁護士ケヴィン・テイラーは,聖書と十字架を使ってミルトンを倒そうとするが,結局はミルトンの巧妙な策略に翻弄される.
テイラーは野心を煽られ,妻の変調に心を乱されるが,それが最終的に彼の破滅を招く.社会的には,ミルトンは「一般人」であり,テイラーには第一級殺人の罪が問われる.獄中でテイラーが目にしたのは,自在に形を変え憑依する悪魔の姿だった.その目を覗き込んだとき,彼は諦念に囚われたはずだ.迫真の場面とすべきだが,訴求力は弱く印象的でもない.
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Title: THE DEVIL′S ADOVOCATE
Author: Andrew Neiderman
ISBN: 4789712532
© 1998 ソニー・マガジンズ
