Books(人文)
世界を揺るがした衝撃の自伝!現代ドイツを代表するノーベル賞作家グラスが,本書でナチスの武装親衛隊員だったことを告白した衝撃の自伝.作家,歴史の証言者としての驚くべきグラスの全貌が,皮をむくように明らかになる――. 匂い,手触りといった感覚的な…
深窓の令嬢のロジーヌに,一目惚れしたアルマビーバ伯爵.早速身分を隠して熱烈な求愛開始,ライヴァルはなんと彼女の後見人!街の理髪師フィガロの加勢で,あの手この手で攻める伯爵,宝は渡さじと守る老医師,二人の恋の知恵比べはいかに.「フィガロ三部作…
『平家物語』は平家滅亡の物語であり,平家一門の「死に様」の物語ともいえる.清盛の地獄の死,宗盛の愚かしくも人間的な死,知盛の剛毅で潔い死,建礼門院のありがたい死……著者は,この『平家物語』を空前絶後の「死(タナトス)」の大文学としてとらえ,そ…
オカン.ボクの一番大切な人.ボクのために自分の人生を生きた人……四歳のときにオトンと別居,筑豊の小さな炭鉱町で,ボクとオカンは一緒に暮らした.やがてボクは上京し,東京でボロボロの日々.還暦を過ぎたオカンは,ひとりガンと闘っていた.「東京でま…
なめらかな肌ざわりと光沢,衣ずれの音……「絹」という言葉には,歴史を超えた豪奢な響き,そして燦然たる輝きがある――. やわらかな張りのなかにコシがあり,放つ光沢は息をのむほど美しい.しゅるしゅると響く上品な衣擦れの音は,阿波,美濃,常陸,紀伊,…
薩摩出身の富山弥兵衛は「二才言葉」を盾に新選組を渡り歩き,粛清を逃れた.言語という知的仮面を操った男は,北越の戦場で剣一本となって散る.組織を超えた「個」の孤独と純粋――. 幕末という変革期において「個」がいかに組織の論理に抗い,あるいはそれ…
アイルランドには蛇がいないという「神話」を逆手に取り,人種差別への復讐に猛毒蛇を用いる知的な倒錯を描く.緻密なリアリズムで構築された完璧な計画が,皮肉にも無知という盲点によって破綻する――. フレデリック・フォーサイス(Frederick Forsyth)の…
業界ランク第10位の阪神銀行頭取,万俵大介は,都市銀行再編の動きを前にして,上位銀行への吸収合併を阻止するため必死である.長女一子の夫である大蔵省主計局次長を通じ,上位銀行の経営内容を極秘裏に入手,小が大を喰う企みを画策するが,その裏で,阪…
ひたすら歩むことでようやく辿り着いた晴れの舞台で,61歳の野党政治家は,生き急ぎ死に急ぎ閃光のように駆け抜けてきた17歳のテロリストと,激しく交錯する.社会党委員長の浅沼稲次郎と右翼の少年山口二矢.1960年,政治の季節に邂逅する二人のその一瞬を…
人類はいかにして火を手に入れたのか.世界のあらゆる地域,民族に伝えられた神話や伝説のなかに,文明への一歩を特徴づけるこの神秘への,人類の飽くなき問いが刻印されている.地底の神々や先祖と戦い,隠された火の秘密を盗み出すポリネシアの大胆な若者…
静かな悪意と欲望が結託し,出世を価値基準とする組織人の思考が犯罪へと傾斜する過程を描く社会心理小説.合理性への過信が招く無音の転落――. 有能でも無能でもなく,特別に邪悪でもない.ただ企業組織の中で上昇を人生の価値基準として内面化し,世界を自…
ホテルの一室で若きボルヘスが未来の老いた自分と対話し,時間の迷宮が終局へ収束する運命と自己同一性の揺らぎ,人生が不可避の死へ回帰することを静かに示す物語.仮の領域で存在の境界も問う終幕を予感させる――. ホテルの19号室で,主人公ボルヘスは84歳…
元禄期の名優坂田藤十郎の偽りの恋を描いた『藤十郎の恋』,耶馬渓にまつわる伝説を素材に,仇討ちをその非人間性のゆえに否定した『恩讐の彼方に』,ほか『忠直卿行状記』『入れ札』『俊寛』など,初期の作品中,歴史物の佳作10編を収める.著者は創作によ…
30万年近く前にホモ・サピエンスが誕生して以来,人類史の大半で人間の生活水準は生きていくのがぎりぎりだった.それが19世紀以降に突如,平均寿命は2倍以上に延び,1人当たりの所得は地球全体で14倍に急上昇したのはなぜか?この劇的な経済成長の鍵は“人…
警察の歴史をひもとくとき,今日のようなシステムが整うに到るまでには,その道筋は一筋縄ではいかなかった.そこには長い歴史が存在する.ヨーロッパにおける警察組織の発達過程は,王権や教会,都市といった様々な権力機構と不可分の関係にある.ヨーロッ…
ラテンアメリカの貧困な村に,巨大な翼を持つ老人が突然現れる.村人たちは彼を天使だと考え,奇跡の癒しを求めて殺到する.しかし老人は何もせず,ただ苦しみながら存在するだけである.やがて村人たちの関心は薄れ――. 貧しい夫婦の家の庭先に巨大な翼を持…
突然目が見えなくなる感染症が流行した4年後,同じ国の首都の総選挙で大量の白票が投じられる.政府は非常事態宣言を発し,首都を封鎖する.ノーベル賞作家による現代社会への警鐘の書――. 盲目の寓話『白の闇』の直接的続編でありながら,主題を知覚の崩壊…
戊辰戦争で焦土と化した城下町・長岡.その窮状を見かねた支藩より見舞いの米百俵が届けられた.だが,配分を心待ちにする藩士が手にしたのは「米を売り学校を立てる」との通達.いきり立つ藩士を前に,大参事小林虎三郎は「百俵の米も,食えばたちまちなく…
『みっともない人体』に続いて読者に贈るルドフスキーの著作.従来の建築史の視野の外にあった地方的,土着的建築物を再評価することにより,人類文明の多様性を積極的に肯定しようとするユニークな建築論――. 近代建築史が周縁へと追いやってきた「名もなき…
機械式時計の発明は世界を変えた.鉄道ダイヤが決められ利用者が増える.労働時間が固定され余暇を生み出す.時計がもたらした生活・社会の変化と,不定時法の和時計やゼンマイから電子装置(クウォーツ)に至る時計の歴史をたどる――. 時計が規定するのは,「…
雪道の自動車事故で半身不随になった流行作家のポール・シェルダン.元看護師の愛読者,アニーに助けられて一安心と思いきや,彼女に監禁され,自分ひとりのために作品を書けと脅迫される.キング自身の体験に根ざす“ファン心理の恐ろしさ”を極限まで追求し…
近松は多面体.様々な角度からのアプローチが可能である.本書では,美しい日本語を書いた一人の作家として近松をまず見てみようとする.底本は甲南女子大学所蔵六行本を用いるが,節章はすべて省き,改行などにより会話文・地の文・道行文など,視覚的にも…
1952年の線文字Bの解読成功は,古代史研究に画期的な進歩をもたらす大事件だった.クレタ島出土の粘土板に誌されたこの文字は,エヴァンズによる発見から半世紀の後,ついにマイクル・ヴェントリスの手で読み解かれたのである.本書ではその共同研究者チャド…
宮本常一の傑作『山に生きる人びと』と対をなす,日本人の祖先・海人たちの移動と定着の歴史と民俗.海の民の漁撈,航海,村作り,信仰の記録――. 日本列島の形成史を「山」「海」という移動原理から読み解いた宮本常一の探究を,海の側から総括した労作.既…
人間を抑圧しつつ,それを隠蔽するもの……「帝国」は人種,ジェンダーなどによる見えない障壁,ヴェールを土台に自らを構成している.例えば黒人に貼りつく孤立や苦しみが,白人の側からは不可視のままになっているように.ヴェールに隠された人間の叫びに応…
芸術とは,「美」を通した,自分と他者とのコミュニケーションである.そんな持論を持つ新鋭の日本画家が,ファンとの素朴な疑問を,明快に一刀両断.ピカソのどこが魅力的なの?いままでの絶対絶命のピンチは?画家って,果たして儲かるの?子どもを感性豊…
今世紀初頭,ロンドンのブルームズベリー地区に在るスティーヴン家で,若い知識人たちの定期的な集いがもたれるようになった.彼らは激動する時代に背を向け,新しい感性のあり方を模索した.その特権性・独善性ゆえに批判されながらも,彼らはやがて絵画,…
十四世紀中葉,黒死病とよばれたペストの大流行によって,ヨーロッパでは三千万近くの人びとが死に,中世封建社会は根底からゆり動かされることになった.記録に残された古代いらいのペスト禍をたどり,ペスト流行のおそるべき実態,人心の動揺とそれが生み…
これは恐らく,現存する最後といっていい土葬の村の記録である.村人は,なぜ今も「土葬」を選ぶのか?日本の伝統的な葬式である「土葬・野辺送り」が姿を消したのは,昭和の終わり頃とされている.入れ替わるように火葬が増え,現在,日本の火葬普及率は99.9…
上野動物園の獣医である著者が,飼育技師の人びとと共に,動物の健康を守るべく日夜努力している様子を,ユーモアあふれる筆致で描いた奮闘記.親がわりに人工哺育でマントヒヒの子供を育てる話や逃げまわるキリンに目薬をつける話など,誕生から死に至るま…